1. 概要
デルタ(Delta)DVPシリーズPLC(DVP-ES2/EX2/SS2/SA2/SX2/SE、EH3など)はCOM2 RS-485ポートを内蔵し、標準のModbus ASCII/RTUをネイティブでサポートします。インバータ、温度調節計、計器などのスレーブを能動的に読み書きするマスター(Master)としても、タッチパネル・SCADA・他のPLCからの読み書き要求を受動的に応答するスレーブ(Slave)としても動作できます。本稿は、デルタ公式の『DVP-PLC応用マニュアル(プログラム編/通信編)』『DVPシリーズPLC通信プロトコル(Communication Protocol)』『DVP-ES2操作マニュアル』に厳密に基づいて作成しており、すべてのデバイスアドレス、命令のオペランド、特殊リレー/特殊レジスタは公式マニュアルに準拠しています。
DVPシリーズPLCの2つのModbus動作モード:
- Modbusマスター:専用命令 MODRD(API 100、読出)、MODWR(API 101、書込)、MODRW(API 150、汎用読み書き)の3命令を使って通信を能動的に起動します。
- Modbusスレーブ:通信フォーマットと局番を設定するだけでよく、PLCは内蔵プロトコルに従って自動応答するため、通信プログラムは不要です。
最初に明確にしておくべき重要点:Modbusの通信電文上、DVPの内部デバイス(X/Y/M/S/T/C/D)は固定の16進数通信アドレスを使用します(例:X0=0400H、Y0=0500H、M0=0800H、D0=1000H)。一部のネット解説で流布している「上位バイトにデバイス種別コード(H1/H3/H4/H10)、下位ワードに番号を入れる」として H100064 や H100100 のような24ビットアドレスを作る方式は、デルタ公式マニュアルには存在しません。MODRW/MODRDのアドレスオペランドは16ビットであり、H100064はそれ自体が不正な値です。第3章・第4章で公式のアドレス体系を徹底的に解説します。
2. Modbus機能コードとアクセス可能なデバイス
DVPスレーブがサポートする機能コードと、それでアクセスできる内部デバイスを下表に示します(出典:デルタ『DVPシリーズPLC通信プロトコル』)。
| 機能コード(10進/16進) | 名称 | アクセス可能なDVPデバイス | データ型 | 読/書 |
|---|---|---|---|---|
| 01(H01) | コイル状態読出 Read Coil Status | S、Y、M、T(接点)、C(接点) | ビット | 読出 |
| 02(H02) | 離散入力読出 Read Input Status | S、X、Y、M、T、C | ビット | 読出 |
| 03(H03) | 保持レジスタ読出 Read Holding Registers | T(現在値)、C(現在値)、D | ワード | 読出 |
| 05(H05) | 単一コイル書込 Force Single Coil | S、Y、M、T、C | ビット | 書込 |
| 06(H06) | 単一レジスタ書込 Preset Single Register | T、C、D | ワード | 書込 |
| 15(H0F) | 複数コイル書込 Force Multiple Coils | S、Y、M、T、C | ビット | 書込 |
| 16(H10) | 複数レジスタ書込 Preset Multiple Registers | T、C、D | ワード | 書込 |
| 17(H11) | スレーブID通知 Report Slave ID | —(スレーブ状態を返す) | — | 読出 |
「標準Modiconアドレスモデル」との2つの重要な違い:
- DVPは機能コード04(入力レジスタ読出)を使用しません。入力リレーXは機能コード02で読み出します(デルタでは02がS/X/Y/M/T/Cのすべてのビットデバイスにアクセス可能)。
- ビットデバイス(S/Y/M/T/Cの接点)は機能コード01/02/05/15、ワードデバイス(T/C/Dの現在値)は03/06/16を使用します。タイマTとカウンタCは「接点(ビット)」と「現在値(ワード)」の両方のアドレス領域を占有します。
3. DVPをスレーブとして使う:内部デバイス通信アドレス対応表(核心)
DVPがModbusスレーブとして動作するとき、外部マスター(タッチパネル、SCADA、他のPLC、Modbus Pollなど)は下表の16進数通信アドレス(0ベースのPDUアドレス)を使って内部デバイスにアクセスする必要があります。
3.1 デバイス通信アドレス総覧(公式表)
| デバイス | 型 | 番号体系 | 通信アドレス(16進) | デバイス範囲 | 機能コード |
|---|---|---|---|---|---|
| S(ステップリレー) | ビット | 10進 | 0000H~03FFH | S0~S1023(256点ごとに1ブロック) | 01/02/05/0F |
| X(入力リレー) | ビット | 8進 | 0400H~04FFH | X0~X377(8進、256点) | 02 |
| Y(出力リレー) | ビット | 8進 | 0500H~05FFH | Y0~Y377(8進、256点) | 01/02/05/0F |
| T(タイマ) | ビット/ワード | 10進 | 0600H~06FFH | T0~T255(接点は01/02、現在値は03) | 01/02/03/05/06/0F/10 |
| M(補助リレー) | ビット | 10進 | 0800H~0DFFH;B000H~B9FFH | M0~M1535;M1536~M4095 | 01/02/05/0F |
| C(カウンタ) | ビット/ワード | 10進 | 0E00H~0EFFH | C0~C199(16ビット);C200~C255(32ビット) | 01/02/03/05/06/0F/10 |
| D(データレジスタ) | ワード | 10進 | 1000H~1FFFH;9000H~A70FH | D0~D4095;D4096~D9999 | 03/06/10 |
備考:0700H、0F00H~0FFFHなどの領域は予約済みでアクセスできません。実際のデバイス点数は機種(ES2/SS2/SA2/EH3)によって異なります。各機種のマニュアルを確認してください。
3.2 ビットデバイスのアドレス換算
- X(8進番号):アドレス = 0400H + 8進番号に対応する10進での順序。X0=0400H、X7=0407H、X10=0408H(X8、X9は欠番)、X377=04FFH。
- Y(8進番号):アドレス = 0500H + 順序。公式通信例では Y0 = H0500 と明記、Y17(8進、10進で15点目)= 050FH。
- M(10進番号):M0~M1535はアドレス = 0800H + n。例:M0=0800H、M100=0864H。M1536~M4095は B000H~B9FFH にマッピング。
- S(10進番号):アドレス = 0000H + n。例:S0=0000H、S100=0064H。
| デバイス | 番号 | 通信アドレス(16進) | 機能コード |
|---|---|---|---|
| 入力 | X0 / X7 / X10 | 0400H / 0407H / 0408H | 02 |
| 出力 | Y0 / Y17(8進) | 0500H / 050FH | 01/02/05/0F |
| 補助リレー | M0 / M100 / M1535 | 0800H / 0864H / 0DFFH | 01/02/05/0F |
| ステップリレー | S0 / S100 | 0000H / 0064H | 01/02/05/0F |
3.3 ワードデバイス(T/C/D)のアドレス換算
- タイマ現在値 Tn:0600H + n。例:T0=0600H(公式の単一レジスタ書込例がまさに 06H 00H)。
- カウンタ現在値 Cn:0E00H + n。例:C0=0E00H、C232=0EE8H(公式例 0EH E8H)。C0~C199は16ビットカウンタ、C200~C255は32ビット高速カウンタ(ダブルワード長を占有)。
- データレジスタ Dn(n=0~4095):1000H + n。例:D0=1000H、D10=100AH、D100=1064H、D1000=13E8H(いずれも公式マニュアルの実例)。D4096~D9999は9000Hから再マッピングされ、アドレス = 9000H +(n − 4096)。
| デバイス | 番号 | 通信アドレス(16進) | 公式電文例(FC06 単一レジスタ書込) |
|---|---|---|---|
| タイマ | T0 | 0600H | 01 06 06 00 12 34 … |
| カウンタ | C0 / C232 | 0E00H / 0EE8H | 01 06 0E 00 … / 01 06 0E E8 … |
| データレジスタ | D10 | 100AH | 01 06 10 0A 12 34 … |
| データレジスタ | D1000 | 13E8H | 01 06 13 E8 12 34 … |
3.4 サードパーティ製マスターソフト(Modbus Poll / SCADA / タッチパネル)とのアドレス対照
Modbus電文で伝送されるのは上記の0ベースPDUアドレス(16進通信アドレス)です。ただし多くの上位ソフトやHMIは1ベースの「参照番号」(4xxxx / 0xxxx / 1xxxx)の入力を求めます。換算式は次のとおりです:
- 保持レジスタ参照番号 = 40001 + 16進アドレスの10進値。例:D0のアドレス1000H = 10進4096、参照番号 = 40001 + 4096 = 44097。D100のアドレス1064H = 4196、参照番号 = 44197。
- コイル参照番号 = 1 + アドレス値、離散入力参照番号 = 10001 + アドレス値。例:M0(0800H=2048)のコイル参照番号 = 2049、X0(0400H=1024)の離散入力参照番号 = 11025。
- ソフトが「0ベース/PLCアドレス」モードを備えている場合、16進アドレスの10進値を直接入力する(D0なら4096)のが最も誤りにくい方法です。
| デバイス | 通信アドレス(16進) | 10進オフセット | 1ベース参照番号 | 機能コード領域 |
|---|---|---|---|---|
| D0 | 1000H | 4096 | 44097 | 保持レジスタ 4xxxx |
| D100 | 1064H | 4196 | 44197 | 保持レジスタ 4xxxx |
| M0 | 0800H | 2048 | 02049 | コイル 0xxxx |
| X0 | 0400H | 1024 | 11025 | 離散入力 1xxxx |
| Y0 | 0500H | 1280 | 01281 | コイル 0xxxx |
8進の問題を再度:X、Yのデバイス番号は8進(X8/X9は存在しない)ですが、通信アドレスは連番です。X7(0407H)の直後はX10(0408H)であり、0408Hが「X8」に対応するわけではありません。
4. DVPをマスターとして使う:MODRD / MODWR / MODRW命令
4.1 3つの通信命令の一覧
| 命令 | API番号 | 用途 | サポート機能コード |
|---|---|---|---|
| MODRD | API 100 | スレーブからデータを読み出す | H02(ビット読出)、H03(ワード読出)など |
| MODWR | API 101 | スレーブへデータを書き込む | H05/H06/H0F/H10 |
| MODRW | API 150 | 汎用読み/書き(最も多機能、推奨) | H01~H06、H0F、H10、H17 |
4.2 MODRW(API 150)オペランド定義(公式)
命令形式:MODRW S1 S2 S3 S n
| オペランド | 意味 | 設定値/備考 |
|---|---|---|
| S1 | スレーブ局番(通信アドレス) | K0~K254。K0はブロードキャスト(読出 H02/H03/H04/H17 ではK0不可) |
| S2 | 機能コード | H01 複数ビット読出 / H02 離散ビット読出 / H03 複数ワード読出 / H04 入力ワード読出 / H05 単一ビット書込 / H06 単一ワード書込 / H0F 複数ビット書込 / H10 複数ワード書込 / H17 複数ワード読書 |
| S3 | 読み書きするデバイスの先頭アドレス | 相手デバイスの16進通信アドレス。例:H0500(Y0)、H1064(D100)、H2100(インバータ状態) |
| S | データレジスタ | 読出データ/書込データを格納する自機の先頭D(D0、D50など)。H17使用時はSが読出データ先頭、S+1が書込データ先頭 |
| n | データ長 | H01/H02/H0Fはビット単位、H03/H04/H10はワード単位。H05ではn=0でON、n=1でOFF。H17ではnが読出ワード数、n+1が書込ワード数 |
オペランド位置に特に注意:S2は常に機能コード、S3がデバイスアドレスです。ネット上の一部解説では「デバイス種別コード」をMODRDの第2オペランド(S2)に入れていますが、これは誤りです。
4.3 公式プログラム例(そのまま流用可能)
例1:別のDVP(局番1)の Y0~Y17(16点、ビット)を読み出す — 出典:デルタ『DVP-ES2操作マニュアル』MODRW Program Example 1。
| 命令 | S1局番 | S2機能コード | S3アドレス | Sデータ | n長さ |
|---|---|---|---|---|---|
| MODRW | K1 | K2(H02 ビット読出) | H0500(Y0) | D0 | K16(16ビット) |
ASCII要求電文:01 02 0500 0010。RTU要求電文:01 02 05 00 00 10 79 0A。マニュアルには Data address Y0 = H0500 と明記されています。
例2:別のDVP(局番1)の D100(1ワード)を読み出す
| 命令 | S1局番 | S2機能コード | S3アドレス | Sデータ | n長さ |
|---|---|---|---|---|---|
| MODRW | K1 | K3(H03 ワード読出) | H1064(D100 = 1000H + 100) | D0 | K1(1ワード) |
M100を読み出す場合は、S3を H0864(M100 = 0800H + 100)に変更し、機能コードをH01にします。
例3:デルタ製インバータ(局番1)の状態/周波数など6ワードを読み出す — 出典:デルタ『DVP-PLC応用マニュアル』公式MODRW例。
| 命令 | S1局番 | S2機能コード | S3アドレス | Sデータ | n長さ |
|---|---|---|---|---|---|
| MODRW | K1 | K3(H03) | H2100 | D0 | K6(6ワード) |
ASCII要求電文:01 03 2100 0006。2100H~2105Hの6レジスタを読み出します。
例4:デルタ製インバータ(局番1)の2000Hへ運転指令ワードを1つ書き込む
| 命令 | S1局番 | S2機能コード | S3アドレス | Sデータ | n長さ |
|---|---|---|---|---|---|
| MODRW | K1 | K6(H06 単一ワード書込) | H2000 | D50(書込データ) | K1(1ワード) |
ASCII要求電文:01 06 2000 [データ](公式例でD50=H1770のとき電文は旧VFD-Sアドレス定義で 01 06 0100 1770。新機種の指令ワードアドレスは2000H)。
「H100064」のようなアドレスについての最終結論:S3には相手デバイスの連続した16進通信アドレスを直接記入します(D100ならH1064であり、H100100やH100064ではありません)。MODRWのアドレスオペランドは16ビットであり、H100064やH40100のような16ビットを超える値や自己矛盾するコードはデルタ命令では不正です。一部ネット資料にある「上位バイト・デバイス種別表(X=H1、Y=H3、M=H4、D=H10)」はデルタ公式定義ではなく、現場で使用すべきではありません。
4.4 MODRW使用上の注意(公式注意事項)
- 各MODRW命令の直後には、対応する「送信リクエストの送信」フラグ(SET M1122)を必ず隣接して設定します。ポートは COM1 → COM3 → COM2 の順に判定され、データの取り違えを防ぎます。
- 同一通信ポートで同時に実行できるMODRWは1命令だけです。次の命令は送受信完了フラグM1127のONを待ってから発行してください(ポーリングではM1127を歩進条件にします)。
- 読出機能コードH01~H04、H17の駆動接点には LDP/ANDP/ORP/LDF/ANDF/ORF などの立上がり/立下がりパルス接点を使用できません。受信データが不正になるため、通常のLD接点を使用してください。
- ASCIIモードでは、受信データは先頭DからASCII形式で格納された後、PLCが自動的にhexへ変換して特殊レジスタ D1296~D1311 に格納します(変換中はM1131がON)。送信データは D1256~D1295 に置きます。RTUモードではデータは直接hexで格納されます。
5. 通信パラメータ、特殊レジスタとフラグの設定(COM2 RS-485)
5.1 ハードウェア配線
- DVPのCOM2はRS-485ポートで、端子は D+(SG+)と D-(SG-)です。D+をバスのA線、D-をB線に接続し、複数台を数珠つなぎ(デイジーチェーン)にします。
- バスの両端にそれぞれ120Ωの終端抵抗を取り付けます。シールド付きツイストペア線を使い、シールドは片端で接地し、動力線から離します。
- すべてのマスター/スレーブでボーレート、データビット、パリティ、ストップビットを一致させ、局番の重複を避けます。
5.2 D1120 通信フォーマット設定(公式値)
| D1120設定値 | 通信フォーマット | 標準的な用途 |
|---|---|---|
| H86 | 9600 bps、7データビット、偶数パリティ、1ストップビット(9600,7,E,1) | 工場出荷時、Modbus ASCII |
| H87 | 9600 bps、8データビット、偶数パリティ、1ストップビット(9600,8,E,1) | Modbus RTUで最も多用 |
D1120の上位ニブルがボーレート選択(H8=9600、H9=19200、HA=38400、HB=57600、HC=115200)、下位ニブルがデータビット/パリティ/ストップビットを選択します。設定後はフォーマット保持のため M1120をSET する必要があります。公式のインバータ通信例では一貫して MOV H87 D1120 + SET M1120 を使用します。
5.3 D1121 通信局番
- D1121は自機(スレーブ時)または相手の局番を設定します。範囲1~254、0はブロードキャストアドレスです。
- 例:
MOV K1 D1121は局番1を意味します。工場出荷時の局番は1です。
5.4 RTU/ASCII選択と送受信フラグ(重要な訂正)
| 特殊リレー / 特殊レジスタ | COM2(RS-485)の働き |
|---|---|
| M1143 | プロトコル選択:OFF=ASCIIモード、ON=RTUモード(RTU/ASCIIはM1143で決定し、D1130ではありません) |
| M1120 | ONでD1120に設定した通信フォーマットを保持 |
| M1122 | 送信リクエストの送信フラグ。ONでMODRD/MODWR/MODRW通信を1回起動 |
| M1127 | データ送受信完了フラグ(完了時にON、プログラムでRST) |
| M1140 | 受信データエラーフラグ(チェックサム/フォーマットエラー時にON) |
| M1141 | 通信アドレス不正 / データ応答エラーフラグ |
| D1130 | 通信エラーコードレジスタ:M1141 ON時にエラーコードを格納(相手が「不正データアドレス」を返すとD1130=2など)。プロトコルモード用レジスタではありません |
| D1129 | 通信タイムアウト設定(公式例 K100 = 100ms) |
標準初期化プログラム(RTU 9600,8,E,1、局番1):電源投入後の最初のスキャンでM1002がONの間に実行:
LD M1002
MOV H87 D1120 // フォーマット 9600,8,E,1
SET M1120 // 通信フォーマットを保持
MOV K100 D1129 // 通信タイムアウト 100ms
SET M1143 // RTUモード選択(OFFならASCII)
MOV K1 D1121 // 自局番 1(スレーブ時)
通信が必要なとき SET M1122 で要求を送信し、M1127 のON(完了)を待って受信データを処理し、RST M1127 します。
6. デルタ製インバータの読み書き(VFD-E / MS300 / C2000などの汎用アドレス)
デルタ製インバータは概ね下表の通信アドレスを使用します(正確な単位・ビット定義は該当機種の『通信プロトコルマニュアル』に従ってください):
| 監視/制御項目 | 通信アドレス | 機能コード | 説明 |
|---|---|---|---|
| 運転/停止指令 | 2000H | 06 / 10(書込) | ビット指令ワード:bit0-1 運転/停止/非常停止/JOG、bit2-3 正転/逆転。ビット定義はインバータ・マニュアル参照 |
| 周波数指令 | 2001H | 06 / 10(書込) | 周波数設定値。多くは0.01Hz単位(50.00Hzなら5000) |
| 運転状態ワード | 2100H | 03(読出) | 運転/回転方向/故障などの状態ビット |
| 出力周波数 | 2101H | 03(読出) | 実出力周波数、0.01Hz |
| 出力電流 | 2102H | 03(読出) | 出力電流、0.01A(デルタVFD-B公式例は2102Hを読出) |
| 出力電圧 / DC母線電圧 | 2103H | 03(読出) | シリーズにより定義が若干異なる |
対応するMODRW命令:
- 状態/周波数/電流など6ワードを連続読出:
MODRW K1 K3 H2100 D0 K6 - 運転指令を書込(正転運転。機種のビット定義に従いデータワードを事前にD50へ格納):
MODRW K1 K6 H2000 D50 K1 - 周波数指令50.00Hzを書込(D51=K5000):
MODRW K1 K6 H2001 D51 K1
インバータ側でも通信局番・ボーレート・通信フォーマットをPLCと一致させ、運転指令/周波数指令の入力ソースを通信に設定する必要があります。シリーズ(VFD-E、MS300、C2000、MH300)によってアドレスと単位が異なるため、実装前に必ず該当インバータの通信プロトコルマニュアルを確認してください。
7. よくある問題とトラブルシューティング
7.1 まったく通信しない
- 配線確認:D+(SG+)/D-(SG-)が逆でないか、A/Bが対応しているか。複数台が数珠つなぎで、分岐配線になっていないか。
- フォーマット確認:D1120がH87(RTU 8E1)またはH86(ASCII 7E1)か、両者が一致しているか。M1120をSETしたか。
- プロトコルモード確認:RTUならM1143をSET、ASCIIならRST。両者が一致している必要があります(「つながらない」最頻原因の1つ)。
- 局番確認:D1121が対象スレーブと一致し、バス上で局番が重複していないか。
- 終端抵抗確認:両端に120Ωがあるか。無通信時の差動バス電圧は数百mV程度が目安です。
7.2 通信はできるがデータが読めない / 不正アドレス
- エラーフラグ確認:M1141がONでD1130にコード(例=2)があればS3のデバイスアドレスが不正です。第3章のhex表で照合してください。
- 機能コードとデバイス種別:Xは02、Dは03、Y/Mの書込は05/0F、Dの書込は06/10。混同しないでください。
- 8進の確認:X/Y番号は8進でX10はX7の直後、アドレスは連番で換算します。
- H100064系アドレスを使わない:D100ならH1064、M100ならH0864です。
- タイミング確認:SET M1122後にM1127を待っているか。同一ポートで複数のMODRWを同時に出していないか。
7.3 データが正しくない・文字化けする
- データ幅:C200~C255は32ビットカウンタで2レジスタ/ダブルワードを占有します。ダブルワードで読み出してください。
- バイト/ワード順:32ビットデータの上位/下位バイト、上位/下位ワードの順序が相手機器と一致するか確認します。
- スケーリング:周波数0.01Hz、電流0.01Aなどはマニュアルに従って倍率で実量に戻します。
- RTU/ASCII混在:モード不一致はフレーム崩れや文字化けの原因です。M1143の状態を確認してください。
7.4 通信がときどき失敗する
- シールド付きツイストペア線を使い、シールドは片端接地。通信線をインバータ出力線などの動力線から離します。
- バス長と台数を管理し(必要ならボーレートを下げる)、両端を終端します。
- D1129のタイムアウトとリトライを適切に設定し、M1127/M1140/M1141で完了・エラーを判定して命令の滞留を防ぎます。
8. 他ブランドPLCとの違い
| 比較項目 | デルタDVP | 三菱FX3U | シーメンスS7-200 SMART |
|---|---|---|---|
| X/Yアドレス体系 | 8進 | 8進 | 10進 |
| 内部デバイスアドレス | 固定hex対応(X0400/Y0500/M0800/D1000) | FX3U-MB固定対応+割当可 | HoldStart/MaxHoldで保持レジスタ領域を設定 |
| マスター命令 | MODRD/MODWR/MODRW(API 100/101/150) | ADPRW(FNC276)、機能コードで読み書きする1命令 | ライブラリ命令 MBUS_CTRL/MBUS_MSG |
| RTU/ASCII選択 | M1143(OFF=ASCII、ON=RTU) | 通信パラメータで設定 | ライブラリ命令のModeパラメータ(RTUのみ) |
| 通信ポート | COM2内蔵(RS-485) | 外付けFX3U-485ADP-MBが必要 | RS-485ポート基板搭載 |
| 主な設定レジスタ | D1120(フォーマット)/D1121(局番)/M1143(モード) | D8120/D8121などの特殊レジスタ | ライブラリ命令パラメータ(ボード/パリティ/タイムアウト) |
9. まとめ
デルタDVPシリーズPLCのModbus通信は次のように要約できます:
- スレーブのデバイスアドレス(hex):S=0000H、X=0400H、Y=0500H、T=0600H、M=0800H、C=0E00H、D=1000H。X/Yは8進番号・連続アドレス、D0~D4095は1000H~1FFFHに対応。
- 機能コード:ビットデバイスは01/02/05/0F(Xは02)、ワードデバイスT/C/Dは03/06/10。デルタは機能コード04を使用しません。
- マスター命令:MODRW S1(局番)S2(機能コード)S3(hexデバイスアドレス)S(データD)n(長さ)。S2が機能コード、S3がアドレスで、hexを直接記入(D100=H1064)。
- 通信設定:D1120=H87(RTU 9600,8,E,1)/H86(ASCII 7E1)、M1120をSET、M1143でRTU/ASCII選択、D1121で局番、M1122で送信、M1127で完了、M1140/M1141/D1130でエラー診断。
- 必ず避けること:「H1/H4/H10+番号」で作るH100064のような24ビットアドレス、S2へのデバイスコード記入、D1130をプロトコルモード用レジスタと誤認すること。
実装前には、Modbus PollなどのマスターツールをDVPスレーブに接続し、本稿のhex表に従って各領域を検証することを推奨します(D0を読むならアドレス4096/参照番号44097)。アドレス・機能コード・データ形式がすべて正しいことを確認してから、MODRWマスタープログラムを作成してください。
10. 関連リンク
- Modbus RTU通信基礎チュートリアル
- デルタDVP PLC Modbus通信設定例
- デルタ製インバータ(VFD-E/MS300/C2000)Modbus制御ガイド
- 三菱FX3U / シーメンスS7-200 SMART Modbusレジスタ対応ガイド
- RS-485バス配線と終端抵抗の規格
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